夫婦ふたりの老後生活で必要なお金の目安はいくらでしょうか。今は安定的にある収入も、定年を迎えた後は年金や貯金でやりくりしていく必要があります。もしそのときに必要な老後資金が用意できていなければ生活に困ってしまいますから、今のうちからコツコツ用意しておくことが大切です。
この記事では、夫婦が用意しておくべき老後資金額や賢い貯蓄方法などを詳しくご紹介いたします。老後にゆとりをもった夫婦生活をおくれるよう、ぜひご参考ください。
老後の収入と支出は何がある?
夫婦ふたり暮らしの老後生活にはいくら必要なのでしょうか?老後に得られる収入と支出をしっかり把握し、それまでにいくら貯蓄すべきかなどのライフプランを考える必要があります。まずは夫婦ふたりでゆとりある老後生活をおくるための老後資金の内訳を、収入・支出に分けて考えてみます。
老後の収入について
年金
年金は働き方や勤続年数、夫婦間の年齢差などさまざまな要因で年金支給額が変わってきます。65歳以上のご夫婦の場合、男性は平均17.6万円、女性は平均10.8万円を受給しています。つまり、夫婦の年金受給額を合計すると、毎月約28.4万円の収入があるということになります。
出典:厚生労働省「厚生年金保険・国民年金事業の概況(平成28年度)」より(PDF:326KB)
定年後の給与収入
高年齢者雇用安定法が改訂され、現在では60歳の定年後も希望をすれば65歳まで再雇用を受けられるようになりました。そのため、今まで会社勤めをしていた方は65歳まで給与収入が見込めます。また、今まで専業主婦(夫)をしていた方も65歳までなら雇用保険に加入できるので、パートとして働きに出たり、年齢制限のない内職をしたりして収入を得ることができます。
資産運用収入
資産運用収入とは、株や不動産などの資産を運用して収入を得ることをいいます。資産を持っている場合は不労所得として収入を得ることができますが、資産運用には高いリスクも伴いますので堅実とはいえないでしょう。
退職金
退職金の金額は企業や勤続年数によってばらつきがありますが、勤続年数35年以上の場合、大卒では平均2,374万円、高卒で2,047万円となっています。この条件を夫婦に当てはめた場合、最低2,047万円、最高4,748万円の退職金を60歳で受け取ることができます。
出典:日本経済団体連合会・東京経営者協会「退職金・年金に関する実態調査結果(2016年9月調査)」より(PDF:227KB)
貯蓄
若い時から老後の資産を貯蓄することはとても重要です。貯蓄の方法はさまざまありますが、貯蓄型の保険や定期預金などを利用すると、計画的に老後資金を貯蓄することができます。
老後の支出について
生活費
老後に夫婦の生活費として毎月必要な額は20~30万円、ゆとりある生活を送るには40万円程度と言われています。
ライフイベント
夫婦の間に子どもがいる場合、子どもや孫へお祝い金を贈ったり、一緒に旅行へ行ったりする人も多くなります。また、子どもがいなくても車を買い替えたり、引っ越しをしたりして、大きなお金が必要になることもあります。
医療費
世帯主が60歳前後の夫婦は、月の平均医療費が12,873円となっています。医療費は年を重ねるごとに必要額が増えていく傾向にあるので、この額は老後の夫婦が必要とする医療費の最低額といえます。
出典:「家計調査報告(家計収支編)平成29年(2017年)III 総世帯及び単身世帯の家計収支」より(PDF:80.8KB)
介護費用
介護が必要になった際、身内でサポートしきれない場合には老人ホームを利用したりヘルパーを雇ったりする必要があります。
葬儀費用
葬儀にかかる費用は内容や参列者の人数などによってかなり差が出てきますが、多くの場合、約200万円前後の費用がかかると言われています。
老後資金の目安はいくら?
世帯主60歳以上の複数人世帯では毎月約6万円の赤字
家計調査の結果によると、2人以上の世帯は毎月の可処分所得が平均18.0万円なのに対し、消費支出が平均23.5万円となっています。これは毎月平均5.5万円の赤字が出ていることとなります。
ゆとりある老後資金は月平均34.9万円
老後に夫婦で旅行を楽しんだり趣味や教養を深めたりと、ゆとりある老後生活を送るためには毎月いくら必要なのでしょうか。
家計調査の結果によると、夫婦2人の日常生活費は月平均22.0万円なのに対し、ゆとりある生活のために必要とする生活費は月平均34.9万円となっています。つまり老後も趣味を楽しむためには通常の生活費に13万円程度の上乗せが必要ということになります。
夫婦ふたりの生活費の目安は2,000万、ゆとりある生活なら6,660万円
夫婦の老後資金として必要な総額を、以下の計算式で算出します。
(夫婦の可処分所得-夫婦の消費支出)×12カ月×90歳までの年数
60歳以上の平均値をもとに計算すると、(18.0万-23.5万)×12カ月×30年=1,980万円、夫婦ふたりの生活は1,980万円が目安となります。
さらにゆとりのある生活を送るためには月13万円程度、30年で4,680万円の上乗せが必要ですので、1,980万円+4,680万円=6,660万円程度の老後資金が必要となります。退職年齢や退職金の金額などさまざまな要素で上下しますので、あくまで目安として考えましょう。
ゆとりある夫婦の老後生活のための資金計画のポイント
夫婦が安定した老後生活を迎えるためには多額の資金が必要になります。このような大きな額を貯めるためには、計画的な貯蓄が必要です。
長く働き収入を得る
60歳で仕事を辞めてしまうのではなく、再雇用契約を結ぶなどをして65歳まで働くことで、生活費などの支出の負担軽減につながります。定年前の収入と同額の維持は難しいかもしれませんが、再雇用により少しでも収入を得られることは資金計画にとって大きなメリットです。
定期預金などで若い時からしっかり貯蓄する
老後資金は利子のつく定期預金を活用する方法もあります。定期預金は預ける額が上がれば利子も増えるため、高額な老後資金の貯蓄方法としておすすめです。そのほかにも様々な貯蓄方法や資産運用方法がありますがご自身にあったものを選択する必要があります。いずれにしても若いうちから老後のための貯蓄を行うことが重要です。
終身保険や老後保険を活用する
終身保険や養老保険は、葬儀費用や残されたパートナーの生活費として活用できます。これらの資金はご自身で貯めることもできますが、保険にはもしもの際の保障もついていますのでおすすめです。
まとめ
- 計画的な貯蓄でゆとりある夫婦生活を手に入れましょう
- 夫婦ふたりの老後生活に必要な資金は日常生活で2,000万円、趣味などを充実させたゆとりある生活をおくるためには約6,660万円の資金が必要です。大きな金額ですが、早いうちからから少しずつ貯蓄をしていくことで、無理なく積み立てることができます。
そのためには、夫婦で今後のライフプランをしっかりと話し合い、これから必要となってくるお金や収入の目途を明確にしておくことをおすすめします。計画的な貯蓄で、ゆとりある老後生活を迎えましょう。